確定申告とは無縁だったサラーリーマン人生。リタイアして遭遇した確定申告手続の覚え書き。
申告した最寄り税務署
【先ずはリタイア後の健康保険】
〇 1年前
60歳の定年退職から5年間、再任用等により常勤による役所勤めを継続できた。
しかしながら、65歳を迎えて役所の再任用も終了。昨年4月からは、本当のリタイア生活。
当面したのが、それまで役所に実質・形式共に丸抱えで面倒を見てもらっていた手続。健康保険や税金(確定申告等)の手続。
最初は健康保険から。昨年3月に再任用が終了するに際し、福利厚生担当の職員から、退職後の健康保険について打診を受けた。組織内の共済組合に退職後・任意継続加入するか、国民健康保険に加入するかの選択について。
このときは、結論から言って、組織内共済組合の任意継続加入とした。
理由は、保険料が国民健康保険より低額であったから。
国民健康保険の保険料は、前年の収入をベースとする。このため、年金受給だけであればともかく、一定の給与所得がある場合には相応高額となるので。
〇 そして今年
正月明け、旧職場の福利厚生担当から打診の電話があった。来年度も共済組合の任意継続を続けるか否かについて。もっとも退職後の任意継続は2年までなので、継続できたとしても最後になる。
この際、国民健康保険に切り替えるかどうか。
結論から言って、国民健康保険に切り替えることに。
理由は、いずれ国民健康保険に加入することが必要となる上、前年度の収入が前々年度より少なく、保険料が任意継続より低額となるため。
そこで、1月末、国民健康保険加入の相談のため、区役所へ赴いた。
保険料は前年の収入がベースとなる。ベースとなる前年の収入は、①年金、②前年3月までの役所常勤時の給与所得、③4月以降のアルバイト所得となる。
その際、係の方に質問した。来年度については、上記所得のうち②が無くなることもあり、ベースとなる前年収入額が違ってくるので、毎年のように加入手続が必要となるのかどうか。
これに対する係の方の回答は、「毎年の所得額については、税務当局から通知があり、当方でも把握できて保険料を算定できるから、その必要はない。」とのこと。
毎年、面倒な手続が不要と分かって安心したが・・・しばらくして気付いた。
「税務当局から通知がある」? 税務当局はどのようにして所得を知り得るのか・・・
もしかして「確定申告」とやらの税務手続が必要となるのでは・・・
これが、確定申告の手続の必要性を気付いたきっかけ(余りに世間知らずかもしれないが)
【リタイア後の確定申告】
サラリーマンなら誰しもそうであろうが、それまで、確定申告をした経験がなく、あわてて、国税のホームページ等を見て調べ始めた。
〇 年金受給者の「確定申告不要制度」
国税のホームページに「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」というページがあった。
「申告不要!!」 見出しだけで軽率にもホットしてしまったが・・・。
よくよく詳しく見てみると、年金受給額が400万円以下の場合は申告不要であるが、昨年中に20万円を超える給与所得等がある場合には、確定申告が必要とのこと!!!。
アルバイトの給与所得もあるが、特に昨年は、3月末までの再任用としての役所常勤時の3か月間の20万円を超える給与所得がある。
確定申告の手続は難しそうでやりたくない、何とか不要にならないのか・・・あきらめかねない気持ちが抜けきれなかった。
ところで、確定申告の時期はいつなのか?
恥ずかしながら、このようなことも知らない状況。国税HPによると、今がまさにその時期であり、2月16日から3月16日までが申告期限とのこと。良かった、この点では安堵。
そこで、気を取り直して、知ってしまった以上は仕方がないので申告手続を勉強することに。
〇 申告方法の選択(パソコン申請は難しそう)
国税のHPでは、詳しい申告・申告書作成の手引き等が掲載されている。そして、やたらと「eーTax」の利用ということで、パソコンやスマホによる申告の勧めが頻出。
しかし、手引き等を少し覗いてみたが、確定申告の経験のない者にとって、また、PCやスマホの扱いに慣れていない者にとっては、正直言って難しい。
各地に設けられる集団申告会場もあるようだし、各税務署においても予約制で相談を受け付けるとあるので、早速、最寄りの税務署の相談を予約(たまたま、予約受付期間内の時期であったもの。)。
ちなみに、この税務署の相談予約手続をする課程においても、しきりに「eーTax」の利用を勧める記載や選択肢が出てくる。
国税にすれば、この時期の窓口対応はよほど大変なのだろう。
〇 証拠書類を捨てずによかった
年度末にかけて、年金や給与所得の「源泉徴収票」とか、生命保険の「控除証明書」等が次々と送付されていた。
これらの書類は、当たり前だけれど、確定申告の証拠書類となるもの。
しかしながら、これまでのサラリーマン人生では、「源泉徴収票」は使用することもなく、「生命保険控除証明書」は年末調整時に勤務先の福利厚生担当に提出していただけであった。必要性等の意識が低かった、あるいは無いに等しかった。
このため、送付されてきても、その時点では確定申告を行うとは露にも思っていなかったので、特に必要との認識は無かった。捨てようとも思ったが、やはり、念のために封筒の中に放り込んで残してはあった。
結果としてよかった。再発行はしてくれるのだろうけれど、面倒だったろうし。
〇 申告の準備(証拠書類の整理)
税務署に相談に行くに際し、国税のホームページをザっと見て、また、手元に残してあった証拠書類とおぼしき書類等から、申告に必要な事項を確認し、その証拠書類を整理しておくこととした。
① 所得の源泉徴収票(①年金、②前年3月までの役所常勤時の給与所得、③4月以降のアルバイト所得)
② 生命保険料・地震保険料の控除証明書
③ 介護保険料の納付済額の通知書
④ 医療控除のための領収書(今年は歯科医で入れ歯を作ったので医療費が10万円を超えていたため)
⑤ ふるさと納税の寄付証明書(確定申告不要のワンストップ特例申請はしていたが、念のため準備した。)
【税務署での相談・申告】
〇 税務署訪問
最寄りの税務署は、実は自宅から徒歩1分の所にある。ここに3年前に越してきたときには、確定申告をすることがあるとも考えておらず、訪問することがあるとは思っていなかった。
訪問した最寄り税務署
税務署での相談予約時間は2月3日の10時から10時半。
10分前に赴いたが、税務署の中は多くの来庁者で混雑していた。
係の方にスマホの予約画面を提示したところ、整理券を渡され、とりあえずは大勢の来庁者と共に待機場所で待ってほしいとのこと。
待機場所は、折り畳みの椅子が並べられ、コロナ予防接種の会場のような設営。
国税のHPでは。この税務署における相談は、予約制に限るような書きぶりだったが、様子を見ていると、飛び込み来庁者が多くいるようだった。
少し待たされるかなと覚悟したが、実際の相談順は、予約者を優先して案内していたため、予約時間内の10時半前には呼び出された。
〇 申告の相談
相談場所は、立ち食いうどんか立ち飲み屋のようなカウンター。立ったままで相談指導が行われた。
税務署も非常臨戦態勢なのか、通常の担当職員以外の職員も多く応援に就けられている様子。来庁者に対応中の若手職員がベテラン職員に質問しながら対応している様子も散見された。
私の相談に当たってくれた女性職員も、そうしたベテラン職員のようで、私の対応中にも、一時的に対応をストップして、他の職員の相談に応じていた。
持参した所得や控除対象の証拠書類を提示したところ、職員の方で、その証拠書類を確認・取りまとめながら、「入力整理表」と題する用紙等に必要事項を記載。
更に、提出した書類等を整理表にホッチキス止め。
その上で、今日は相談に止まらず、スマホによる申告を終えてしまうということで、申告書作成担当の職員に引き継がれた。
引継ぎの待ち時間の間、スマホ申告マニュアルを渡され目をとおしておくようにと。しかし30ページ程度あるもので、その場で理解できるようなものではなかった。
〇 「eーTax」スマホによる申告書作成
スマホによる申告書の作成方法は、①マイナンバーカードを利用する方法と、②ID・パスワード方式があるとのこと。そのときは、②の方法により行うとのこと。
このため、先ずは、ID取得のための手続(パソコンによる氏名やパスワード等の入力)が行われた。
ちなみに、このID・パスワードを使用して、来年以降も「eーTax」による確定申告ができるとのこと。
渡されたID・パスワードの控え
その後は、担当者の指導に従うまま、スマホに必要事項を打ち込むだけ。
しかし、入力事項が多いので10分以上は要したかもしれないが、それだけで申告が終了した。
ちなみに還付金は約3,000円とのこと。
最後に、作成済み申告書をスマホのファイルに保存してくれた。
また、証拠書類等は提出不要とのことで返却された。5年間は手元で保存しておいてほしいとのこと。
返却してくれた入力整理表と証拠書類等。入力整理表を台紙にして紙に証拠書類がホッチキス止めされてる。
【確定申告を終えて】
税務署を後にしたのが、11時前で、訪問してから1時間で申告を終えることができた。
今回、スマホによる申告を終えたが、これも税務署職員の手取り足取りの指導のおかげであって、やはり、一人で行うことは無理だったように思う。
税務署の職員も、高齢者にスマホによる満足な操作や申告書作成は期待できないと考えておられるようで、手取り足取り指導してくれたものと思うが、正直助かった。
今年の経験で、申告には、どのような事項が必要であることも分かったので、もしかしたら自分でスマホ申告も可能かもしれない。
が、難しければ、これまでは縁のない役所であったが、思ったより敷居は低かったので税務署に赴きたい。
ちなみに、数日後に本屋に立ち寄ったところ、なんと「確定申告」の特設コーナーが設けられていた。
ただ、私のような個人申告の場合は、ノウハウ本に頼らなくとも、税務署の指導で十分対応できると、今回の経験で思った。